歯並び・クセ

歯並びの種類

不正咬合の6つのケース

不正咬合があると、歯磨きがしにくい、食べ物を上手く噛むことが出来ないだけでなく、歯の一部や顎関節に負担がかかります。その結果、歯の欠損や顎関節症、消化不良が起きてしまうこともあります。不正咬合を治療することは、将来的にお口に生じるであろう不調を予防することが出来ます。

以下の不正咬合に当てはまる場合は一度お早めにご来院ください。

 ケース1デコボコに歯が生えている

デコボコに生えている歯のことは「叢生」「乱杭」ともいい、チャームポイントと言われることが多い八重歯も叢生の一種です。歯の生え変わるタイミングが遅れると、永久歯が前や後ろにずれて生えてきてしまうことがあります。全ての歯がきちんと並ぶためのスペースが無いという場合には、歯を抜いてスペースを作ります。

叢生の悪影響
叢生の悪影響

  • 見た目が気になる
  • 歯磨きがしにくくなるため、虫歯・歯周病リスクが高まる
  • 発音がしにくくなってしまう
  • 食べ物をしっかり噛むことができない

ケース2出っ歯(上顎前突)

下の前歯よりも上の前歯のほうが前に出ている状態で、骨格的に上顎が前に出ている場合と、前歯が傾いている場合があります。上顎前突は発音などにも影響を及ぼすため、早めに治療を開始するのが望ましいです。

上顎前突の悪影響
上顎前突の悪影響

  • 見た目が気になる
  • ドライマウスになりやすくなる
  • 発音や滑舌に影響する
  • 食べ物をしっかり噛むことができない

ケース3受け口(下顎前突)

噛んだ時、下の歯が上の歯よりも前に出ている状態で、お顔つきにも影響するため、お子さんが成長期に入る前に治療を開始するのが望ましいです。

下顎前突の悪影響
  • 顔が変形してしまう
  • 顎関節症リスクが高まる
  • 発音がしにくくなってしまう
  • 食べ物をしっかり噛むことができない

ケース4噛み合わせが深い(過蓋咬合)

噛み合わせが深い状態を過蓋咬合といい、噛んだ時に上の歯が下の歯をすっぽりと覆ってしまうような状態のことを言います。一見歯並びがいいように見えますが、顎関節に負担がかかったりなどの悪影響があります。

過蓋咬合のの悪影響
過蓋咬合のの悪影響

  • 上顎の歯が歯周病になりやすくなる
  • 食いしばりがある場合、症状が悪化しやすい
  • 前歯が乾燥しやすくなる
  • 前歯が大きく見えてしまう
  • 顎関節症リスクが高まる

ケース5前歯が噛み合わない(開咬)

前歯が噛み合わない状態のことを開咬やオープンバイトと呼び、噛んだ時に奥歯は噛み合うものの、前歯が閉じない状態のことを言います。様々な不正咬合の中でも、問題を引き起こしがちな症状の一つが開咬です。

開咬の悪影響
開咬の悪影響

  • 口呼吸になりやすくなる
  • 発音や滑舌に影響する
  • ドライマウスになりやすくなる
  • 食べ物をしっかり噛むことができない

ケース6すきっ歯

前歯の真ん中に隙間がある状態で、生まれつきのものと、欠損歯があることが原因となって出来る場合があります。

すきっ歯の悪影響
すきっ歯の悪影響<

  • 見た目が気になる
  • 食べ物が隙間に詰まる
  • 発音に影響することが多い

お子様のくせ

お子様のくせ無意識に日常の中で行う習癖のことを「態癖」と言い、子供のうちに見られる「指しゃぶり」「頬杖」「爪噛み」などの癖は歯並びに悪影響を与えてしまうことがあります。

指しゃぶり

指しゃぶりや爪を噛むなどの癖は歯並びに悪影響を与えてしまうことがあるため、改善することが出来るよう指導していくことが大切です。原因から目をそらし、「ダメ!」と注意するだけでは改善しないだけでなく、お子さん本人にとっても、保護者の方にとってもストレスになってしまいます。

また、全ての指しゃぶりがいけないという訳ではありません。3歳くらいまでのお子さんの指しゃぶりは問題ないケースが多く、また、その後の年齢でも集団生活の中でだんだんと指しゃぶりをしなくなるお子さんが多いです。
焦らず、6~7歳の前歯が生える頃に前歯の歯並びに悪い影響を及ぼさない程度になっていれば大丈夫でしょう。
起きている時の指しゃぶりとしては指の感覚の刺激の不足や発達の問題へのアプローチが必要です。指しゃぶりをしないと眠れない、寝ている時に指しゃぶりをしてしまうなど無意識の時に起こる指しゃぶりには指の感覚の刺激の他にも呼吸の問題などからアプローチをする必要があることもあります。

中には保育園や幼稚園のストレス、母子関係の悪さの代償行為として指しゃぶりをしてしまうお子さんも居ます。こういったケースの場合には環境を改善したり、外での生活に慣れたり、親御さんとスキンシップを増やすなどの対策を行う必要があります。一方的に叱ったり、注意するだけでは症状が更に悪化してしまうこともあります。

指の感覚の発達については、手遊びや粘土、砂場で遊ばない、折り紙が出来ない、絵や字を書くよりもスマートフォンやタブレットで遊ぶなど、手から伝わってくる情報が少ないことも原因の一つと考えられます。毎日の生活の中で意識的に手を使ったり、手の刺激を増やすことで指しゃぶりをやめることが出来る子もいます。

いつ、どんな時に指しゃぶりをしているのか。そして、なぜ指しゃぶりをしているのかということをきちんと把握することで、正しい対処が出来るようになります。

うつぶせ寝

寝るときにうつぶせや横向きになる姿勢でいると、歯並びだけでなく体全体がゆがんでいきます。特にうつぶせ寝はあごに力がかかり続けるため、顎関節症(がくかんせつしょう)という病気の原因にもなります。噛むときにあごが痛い、口を開けたり閉じたりするときにカクカク音がする、あごが開きづらいなどの症状がある場合には、顎関節症の可能性があるため

爪噛み

爪噛みは指しゃぶりと似てはいるものの、また違った態癖です。

指しゃぶりの場合、赤ちゃんの頃に多く、年齢と共に徐々に減っていきます。しかしながら爪噛みは5歳頃から増えていく傾向にあるのです。
考え事をしている時や集中している時などに爪を噛むことが多く、そのような場面が増えることで爪噛みが癖になってしまうようです。
ただ爪自体を噛む子もいれば、口の中で舌で爪を触って、舌の刺激の代償として爪を噛んでいる子も居ます。舌で爪を触るために上下の歯で抑えているという状態で、結果として噛んでいる状態になっているような場合は指の問題ではなく「舌の問題」と考えてアプローチを行うことで爪噛みが改善することがあります。

年齢と共に自然に減少せず、むしろ増加傾向にある爪噛みは原因などについてもしっかり考えながら対処していきましょう。

頬杖

頬杖は、かかる力によって歯列を歪めてしまう態癖です。
人間の頭の重さは成人で5kgほどと言われており、子供でも体重の10%、つまり2~3kgほどはあります。頬杖をつくことによってお口の中に頭の重さ分の力がかかるため、その結果、歯列が崩れてしまうのです。左右両手で頬杖をつけば奥歯が内側に押し込まれるように変形してしまったり、片手で頬杖をつけば片方の片側の歯列だけが変形してしまったりします。
床矯正治療を行うとき、頬杖をつく癖があるとなかなか歯列が広がらない、痛みが出るなどの症状が出ることがあります。また、全ての歯が永久歯になる中学生以降や成人では、顎関節症の原因にもなります。

口呼吸や猫背などの姿勢が原因の場合もあります。口呼吸で頭が前に出ていたり、猫背の症状があると、前方に出て不安定になってしまった頭を支えるために頬杖をついていることがあり、口呼吸を鼻呼吸にすることで改善することもあります。意識して頬杖をやめるだけじゃなく、このような原因についても考えてみましょう。

この他にも、身体を支えられず、机に顎をつけて本を読む子供も居ます。頬杖やこのような癖がある場合、正しい座り方が出来ているかどうか、椅子のサイズや足元も含めて対処する必要があります。口呼吸が原因となって猫背になり、重い頭を支えるために頬杖をしている子の場合、注意された時は背筋を伸ばしても、そのままの状態では苦しいのですぐに頬杖をついたり、机に顎をついてしまったりします。

唇を噛む

下唇を噛む癖があると、下顎が後ろに押し込まれてしまい「出っ歯」になります。逆に、上唇を噛む癖があると「受け口」になります。また、この他にもタオルなどの衣類を噛む癖があったりしますが、「ダメ!」とただ注意するだけでなく、きちんとした原因を見つけて対処することが大切です。唇を噛む癖の原因の多くは口の周りの感覚や機能のバランスが問題となります。

口腔機能発達不全症

このような指しゃぶり、爪噛み、唇を噛むという様々な機能の問題は2018年より、保険診療でも「口腔機能発達不全症」という病気の一つとして扱われるようになりました。
正しい機能の発達が出来ないということはその時点で困ることがあるかどうかだけでなく、お子さんが成長していく上で問題になったり、正しく発達できないまま高齢になった時、加齢による機能低下が起こると、正常な発達をした人に比べ、より早く衰えてしまうことになります。

お子さんのお口周りの癖でお悩みでしたらぜひ当院までお気軽にご相談ください。

※くらもち歯科医院では、口腔機能発達不全症があった場合、矯正治療を行っているお子さんについては混合治療の観点から矯正治療の中で対応いたします。